ご報告
前年の第1回難病・慢性疾患全国フォ-ラムの成功に勇気づけられて、2回目となるフォーラムを2011年11月12日、日本教育会館一ツ橋ホールで開催しました。参加者も少し増えて約400名になりました。
しかし、この年の3月に東北で東日本大震災が発生しており、まだ社会全体が不安から抜け切れていないなかでの開催となりました。伊藤氏は主催者あいさつのなかで、前回の成功で関係省庁である厚生労働省をはじめ国会、あるいは社会の見る目が大きく変わってきたということをひしひしと感じていると述べる一方、甚大な災害による経済や社会構造の影響に対し大きな不安と懸念が一層大きく膨らんだ半年間ではないかと述べています。
難病対策の見直しについて、辻󠄀厚生労働副大臣は来賓あいさつのなかで、現在「難病対策委員会」や私が座長を務める省内の「新たな難治性疾患のあり方検討チーム」で精力的に議論をさせていただいていますと述べるとどまり、この時点では具体的は施策については言及していません。
「患者・家族の訴え」では4名が登壇しました。シルバーラッセル症候群の方は病気の解明や治療法の確立研究の促進等を、遠位型ミオパチーの方は患者数が少なすぎて薬が開発されないこと等の問題を、先天性心疾患の子どものお母さんは小児慢性疾患のキャリーオーバー問題を、表皮水泡症の方は病気の理解と見た目による偏見等の解消等をそれぞれに訴えました。
シンポジウムは「今後の難病・長期慢性疾患対策を考える」をテーマとして、改正障害者基本法、障害者制度改革の動向、医療基本法の制定をめぐるうごきもふまえて新たな難病対策の方向を考えるという内容でした。各シンポジストの発言の後でコメンティーターの金澤一郎先生は、現在進行形で難病対策委員会のなかで議論している最中とした上で、最大の問題点は対象疾患の公平性だと述べています。なぜ56疾患に医療費の助成があり130疾患に研究を集中して、最近では214に症例研究が行われいるのか、病気の選び方を問題点として挙げています。そして、多くの疾患のなかのほんの一部にしか光が当たっていないことを強調しました。そして再度、シンポジストの一巡後に発言を求められると、かつては研究が中心の制度であったが、今後については研究とサポートの分離や増加する疾病や医療費に対して「税と社会保障の一体改革」への期待が述べられ、制度には公平性はもとより恒久性と科学性が必要という見解が示されました。
今回のフォーラムでは具体的な方向は定まっていませんが、集会最後のアピールに「高額療養費の負担限度額の引き下げ、 医療費の窓口負担の軽減、そして日本の健康保険制度全体にまで患者団体の視野は広がっています。」と記しているなど、関係患者団体としては難病対策だけでなく医療制度改革あるいは障害者制度改革などによる包括的な制度設計を期待するものとなりました。
名 称 | 難病・慢性疾患全国フォーラム2011 ‐すべての患者・障害者・高齢者が安心して暮らせる社会を‐ |
趣 旨 | 難病患者・慢性疾患患者と家族の生活と苦悩を訴え、その願いを社会に届ける ことによって、難病患者や障害者、高齢者が安心して暮らせる社会の実現こそ が、すべての国民が安心して暮らせる社会の実現に他ならないことを、多くの 国民に訴えたい。 |
主 催 | 難病・慢性疾患全国フォーラム 2011実行委員会 |
世話人 | 一般社団法人 日本難病・疾病団体協議会(JPA) (社)日本リウマチ友の会 認定NPO 法人難病のこども支援全国ネットワーク |
一般社団法人日本難病・疾病団体協議会(事務局) |
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後 援 | 厚生労働省 日本医師会 |
開 催 | 2011年11月12日(土)12:45~17:00 |
会 場 | 日本教育会館一ツ橋ホール 東京都千代田区一ツ橋2-6-2 アクセス(外部サイト) |
参加・賛同 団体 |
123団体 |
参加・賛同 団体紹介 |
(25MB) |
参加者 | 400名 |
参加費 | 1,000円 |
ポスター 要項 |
12:45 | 開 会 オープニングアトラクション「マーチ☆アンサンブル」 *知的障害をもつ高校生以上のメンバーによるダンス・演奏パフォーマンス。 |
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13:00 | 開会あいさつ 伊藤 たてお実行委員長(一般社団法人 日本難病・疾病団体協議会) |
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13:10 | 患者・家族の訴え わからないという痛み~希少難病・慢性疾患と共に生きる~ 近藤 健一(シルバーラッセル症候群患者) 詳細 先天性心疾患のキャリーオーバー問題 神永 芳子(成人先天性心疾患患者の問題/家族) 詳細 一日も早く薬を 若宮 有希(遠位型ミオパチー患者) 詳細 表皮水疱症ってなに? 薄田 たか子(表皮水疱症患者) 詳細 |
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14:00 | 来賓あいさつ 厚生労働省 副大臣 辻 泰弘 様 日本医師会 常任理事 高杉 敬久 様 各政党代表 民主党 長妻 昭 議員 公明党 古谷 範子 議員 日本共産党 田村 智子 議員 社民党 阿部 知子 議員 みんなの党 川田 龍平 議員 国会議員 谷 博之 議員 竹田 光明 議員 玉木 朝子 議員 その他 外山 千也 健康局長(厚生労働省) 山本 尚子 疾病対策課長(厚生労働省) 金澤 一郎 国際医療福祉大学大学院長 難波 吉雄 内閣府参事官・前疾病対策課長 神野 吉弘 民主党都議会議員 斎藤 あつし 民主党都議会議員 |
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メッセージ 民主党 谷岡郁子 議員 たちあがれ日本 平沼赳夫 議員 日本共産党 高橋千鶴子 議員 民主党 足立信也 議員 |
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海外の患者団体からのビデオメッセージ NORD(アメリカ合衆国全国希少疾病団体)代表 ピーター・ソルトンストールさん EURODIS(ヨーロッパ希少疾病団体)代表 ヤン・レカムさん |
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14:30 | 特別報告 ~東日本大震災・被災地難病患者を支援した団体から 被災地にTシャツを送ろう!プロジェクト 遠位型ミオパチー患者会の取り組み 織田 友理子 資料 (NPO)難病ネットワークとやま代表 三部 庫造 資料 |
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休 憩 |
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15:10 | シンポジウム「今後の難病・長期慢性疾患対策を考える」 ◇コメンテーター 金澤 一郎(国際医療福祉大学大学院長) プロフィール ◇シンポジスト 小林 信秋 プロフィール 長谷川 三枝子 プロフィール 難波 吉雄(内閣府参事官・前疾病対策課長) プロフィール ◇コーディネーター 伊藤 たてお プロフィール ◇フロア指定発言 PKDの会 山地 幸雄 日本CFSナイチンゲール友志会 椎名 悦子 |
(敬称略 発言順) |
16:50 | アピール採択 アピール読み上げ 恒川 礼子(筋無力症友の会) アピール |
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16:55 | 閉会あいさつ 渡辺 孝(日本肝臓病患者団体協議会代表幹事) |
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*ロビーでポスターセッションを開催 (患者団体の紹介、海外の希少疾患グループの紹介、など) PRIP tokyo 企画セッション資料集(5MB) |
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プログラム | ||
18:00 | 懇親会 9F「喜山倶楽部」にて開催。 |