難病・慢性疾患全国フォーラム2012 報告
■PDF版
 「難病・慢性疾患全国フォーラム2012」は11月24日(土)、日経ホール(東京都大手町)で開催され、450名を超える難病患者・家族及び関係者が熱心に耳を傾けました。また、フォーラム終了後、情報交換会(交流会)が開催され、楽しいひと時を多くの仲間で共有することができました。
 同フォーラムは今年で3回目となります。1回目は2010年11月に国立オリンピック記念青少年総合センター国際会議場で開催、これまでにない大規模な集会で患者・家族が訴えたことにより、国や社会に難病対策の拡充を強く印象づけました。2回目はさらに規模を拡大して、2011年11月に日本教育会館一ツ橋ホールで開催されました。私たちのこうした取り組みにより、政府は法制化も視野に入れた新たな難病対策の構築に動き出しました。さらに2012年9月には、超党派による新しい難病対策の推進を目指す国会議員連盟も結成されました。そして今回は、まさに改革のさなかでの開催となりましたが、それにふさわしく患者・家族が力強く訴え、要望を行いました。

 オープニングアトラクションは、知的障害をもつ高校生以上のメンバーによるダンス・演奏パフォーマンス「マーチ☆アンサンブル」で華やかに幕あけしました。そして、主催者を代表して伊藤たてお実行委員長からあいさつがありました。伊藤氏は、この1年の取り組みで福祉サービスや就労支援などで難病対策が大きく変わってきたことを述べた後「すべての患者・障害者・高齢者が安心して暮らせる社会づくりを目指して難病・慢性疾患全国フォーラムを成功させたいと思います。今日一日、皆さまの熱い思いを込めたご参加をお願いします」と呼びかけました。
 「患者・家族の訴え」は4名の患者本人が壇上にあがりました。一人目は、胆道閉鎖症患者の女性で「難病の子がより適切で十分な医療、環境の場を与えられる社会。なにより難病を抱える親が、安心して子供より先に死ねる社会にしなければならないと思います」と難病の子どもや成人後の支援の継続を訴えました。
 二人目は、クローン病患者の男性で「体調管理ができるように配慮していただければ、適材適所で一生懸命働きます。どうか病人という先入観なしに、私たち個人、個人を見てください」と難病患者の就労への理解と促進を訴えました。
 三人目は、関節リウマチ患者の女性で「(患者)数の多い少ないという考え方は無くし、重症度や経済的背景を考慮しての制度運用を期待したい」と難病対策の対象疾患を「希少性」で判断してはいけないことを訴えました。
 四人目はウエルナー症候群患者の男性で、「(病気の進行で)たとえ足を失うことになっても自分に与えられた命を精いっぱいに生きたい」と命の大切さと希少難病における治療研究の前進を訴えました。この4名の発言が傍聴者の心を熱くしたことはいうまでもありません。
 「来賓あいさつ」は、厚生労働省健康局長矢島鉄也様、 日本医師会常任理事道永麻里様、民主党参議院議員辻 泰弘様、民主党参議院議員谷 博之様、民主党前衆議院議員玉木朝子様、公明党参議院議員渡辺孝男様、日本共産党参議院議員 田村智子様、みんなの党参議院議員 川田龍平様の7名から一言ずつごあいさつをいただきました。衆議院の解散とそれに伴う選挙を控え、国会議員の皆さまにはたいへんお忙しいなかかけつけてくださいました。
 休憩時間には、ロビーで行われている展示コーナーにたくさんの人が詰めかけました。
 3年目ですっかりお馴染みになったPRIPTokyoの展示コーナー(海外患者会の活動紹介、海外患者会との連携、国内患者会の今、レアディジーズ・デイの紹介VTRなど)では海外赴任中の西村由希子さん(JPA国際交流担当)とスカイプで生テレビ中継を行うなどのコーナーもありました。また、日本ダウン症協会が出生前診断について考えるブースを、日本リウマチ友の会が自助具の紹介ブースを出し、東京在宅サービスがマッサージコーナーを開催するなどの新しい試みも行われていました。
 休憩をはさんで、次はパネルディスカッション「新しい難病対策の法制化をめざして」です。最初に金澤一郎先生(難病対策委員会委員長)から「これまでの経過について」約20分のご講演をいただき、その後4つの患者団体がテーマごとに要望を述べました。要望を述べたのは「医療費助成の基準について」山地幸雄PKDの会会長(多発性嚢胞腎・多発肝嚢胞)、「福祉サービスの給付について」東尾雅史竹の子の会会長(プラダーウィリー症候群)、「治療法開発・創薬と並行した既存の制度・組織体系にとらわれない柔軟な未承認薬・適応外薬の開発を」横山江里子血管腫・血管奇形の患者会副代表、「医療と福祉が連携した総合的な難病ケアが受けられる地域難病支援ネットワークの構築を」岡部宏生日本ALS協会副会長、金沢公明同事務局長です。そして、こうした発言を踏まえ山本疾病対策課長及び伊藤たてお日本難病・疾病団体協議会(JPA)代表理事、小林信秋難病のこども支援全国ネットワーク専務理事が意見や感想を述べるという展開ですすみ、フロアからも3名の発言を受けました。
 山本課長は「改革の進展状況」を、家を建てることをイメージすると設計図がやっとできつつあり、これから家を建てる資金を確保し、またその家を維持するお金を確保することが必要になっていると報告。「新しい難病対策が目指すもの」として総合性、公平性、安定性の三点を踏まえ患者団体からの要望に丁寧に答えました。そして「実現に必要なこと」として、多くの国民の理解を得ることの重要性が指摘されました。
 伊藤氏は患者・家族の発言能力を高く評価し、そうした積み重ねが少しずつ対策をすすめていくとしながら、日本はもっと先進諸国のすすんだ医療制度、社会福祉制度を見習うべきと指摘。また「軽症患者を重症化させない」としたパネラーの発言などを、どの疾患にもいえる重要なことと述べました。
 小林氏は予算削減から小児慢性特定疾患をまもるために法制化したが、裁量的経費だったことから再び予算が削減された経験を踏まえ、予算は義務的経費にする必要があると述べました。
 「アピールの採択」は、遠位性ミオパチー患者会の織田友理子さんが「私たちの活動が難病や慢性疾患の患者に限らず、すべての国民の社会福祉の向上に役立つことを願って、一層の連携を強める活動を続けることを、この集会の名において誓います」といったアピール文を読み上げると満場の拍手が起こりました。
 そして最後は、世話人の長谷川三枝子氏(日本リウマチ友の会会長)のあいさつで締めくくりとなりました。
 
 フォーラムの終了後は4階ホワイエで軽食とビール、そして差し入れのワインで情報交換会(交流会)が行われました。
サプライズゲストとしてスペインの男性2名が民族衣装で現れ、楽器を演奏しながら「ラ・バンバ」などを熱唱していただくと会場は陽気に包まれました。音楽にあわせて、みんなが自然と手をつなげたことも感動的でした。
 
 とにかく、このように一人ひとりの力をみんなの力にかえて「難病・慢性疾患全国フォーラム2012」は盛会に終わることができました。
 ご支援、ご協力いただきました皆さまに心より御礼申し上げます。
                                            報告 藤原 勝(日本難病・疾病団体協議会)


難病・慢性疾患全国フォーラム2011はこちら
第1回難病・慢性疾患全国フォーラムはこちら

〈主 催〉「難病・慢性疾患全国フォーラム2012」実行委員会
(事務局)〒170-0002 東京都豊島区巣鴨1-11-2 巣鴨陽光ハイツ604号
         一般社団法人 日本難病・疾病団体協議会内
         TEL 03-6902-2083 FAX 03-6902-2084

          Mail address :
jpa@ia2.itkeeper.ne.jp  

Copyright (C) 2016 「難病・慢性疾患全国フォーラム」実行委員会 All Rights Reserved.